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【第1話/後篇】おじいちゃんとの再会。

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ダガダガダガダガ・・・・・

遠くで聞こえていた重く力強いトラクターのエンジン音が近づいてきて、家の近くでガガンっと止まった。

「わー!おじいちゃんだ!」

すいはたまらず外へ飛び出た。

「おじいちゃーん!おかえりー!おじいちゃーん!」

「すいー!来たが~!いぐ来たな~!」

普段は寡黙で物静かなのおじいちゃんが声を少し上ずらせながら叫んだ。

「まだおっきぐなったなー。じっちゃなば腰曲がてきてちっちぇぐなてしゃった~」
...(※また大きくなったね、おじいちゃんは腰が曲がってきて小さくなってしまったよ)

「うん。すいね、これからおじいちゃんの農作業いっぱい手伝うよ!」

興味深そうにトラクターを撫でながら力強くそう答えた。

「都会さ住んでだらこごなばなーんもねくて不便だべ?ほんとにこさ来ていがったんだが・・・?」
...(※都会に住んでいたら、ここは何もなくて不便でしょ?本当にここに来てよかったのか?)

「全然。なにもないのがいいんだ。美味しいものいっぱい食べられるし!
すいは、おじいちゃんもこの家も大好きだから!」

「んだが。せばいがった・・・。」
...(※そうか。なら良かった。)

 

おじいちゃん自身は田舎でのこの生活が他の何物にも代え難い宝だと思っているが、
これから高校生になるすいにとってここでの生活は酷な気がして心配していた。
朝早く自転車でバス停へ、そしてバスで街の中心部へ40分かけ、さらに歩いて高校まで通う生活・・・。

都会とはまるで違う生活に、息子家族たちはうまく馴染めるのか。そんなことを考えてしまい表情は晴れなかった。

 

山を愛し、自然と共に暮らしてきたおじいちゃんには昔、熊に襲われたという爪痕が首から胸にかけ深い傷跡として残っている。

すいは、色白なパパとは違い、草木でいつも生傷だらけ、日焼けした褐色の勇ましいおじいちゃんに小さな頃から憧れと尊敬の念を抱いていた。

これから始まる秋田での新生活、大好きなおじいちゃんと大自然にたくさんのことを教わっていく。

 

 

 

「ああっ!すい!そえだば生で食わいねど!?」

目を離した隙にすいは山菜らしき新芽をもぎ取って口に入れていた。

「ニガイーーー!ぺっぺっ」

「まんずたぐまし子だごど!あっはっは」(なんてたくましい子なんだろ)

おじいちゃんはやっと心の底から笑った。

久しぶりにすいの純粋で真っ直ぐな目を見て、
何がなんでも孫と息子夫婦を守り抜こう、おばあちゃんの分も長生きしようと心に誓ったのだった。

【第1話・終わり】

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