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【第4話/前篇】すいの誕生日とパパ

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5月。

ようやく桜が咲き誇り、黄緑色の葉や新芽が町を少しずつ鮮やかにしていく。

すいは、16歳になった。

すいは5月5日のこどもの日に生まれた。
だからと言って男の子っぽく育ったわけではないのだが、小さいころから両親の故郷、秋田に里帰りする度にわんぱくになっていった。

小学校が夏休みになるとパパの実家に一人長期滞在していたこともあり、おじいちゃんと二人で山に行ったりするものだからなおさらだ。

それからは東京の中学で、テニス部に所属し3年間部活に打ち込んだ。サラリーマンのパパは昇進しますます忙しくなり、おばあちゃんが亡くなって以来なかなか家族で帰省することもできなくなっていた。

 

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「すい」という名前は、水から由来している。

水は生命の源であり、水の流れる音や落ちる音をいつも身近で聞きながら育ったパパが、その生まれ故郷の恵に感謝し、「すい」と名付けたのだ。

身近な人たちを穏やかに、そして元気にするような子に育ってほしいという願いが込められている。

 

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パパはひょうきん者で、色白で、一見ひ弱そうに見えるが、実は感性が豊かでおじいちゃん譲りの芯が強いところも、多少ある。

秋田へ引っ越すことを決意したのもパパで、おじいちゃんが一人で暮らしていることを気にかけてのことだ。
・・・それと、ゆくゆくは農業を継ぎたいとも考えてはいるものの、それについては中々決心がつかないでいた。
家族を養うためには安定したサラリーマンでいることがいいのかも知れないと。

 

ゴールデンウィークは田植えの準備で忙しい時期ではあったが、すいの誕生祝いとして従姉妹のあやめたちとも一緒に なまはげで有名な男鹿へ一泊旅行もでき、充実した連休を過ごしたのだが・・・

ゴールデンウィークが終わってもパパはまた有給を取り会社を休むことになったのだ。

 

それはおじいちゃんの代わりに急遽、田んぼの仕事をしなければいけなくなったからだった。

 

【第4話/後篇へ続く】

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